在る冒険録



ビシャァァァァ・・

 家の前を通る車のタイヤ音に水しぶきが混ざっている。あぁ、雨なんだな、とすぐに分かった朝だった。


 いつも以上に重たく感じる体を起こし、窓から外を見る。まぁ別にみる必要もないし、こういった場合、大抵が見ない方が良いと分かってるのにね。。。案の定、今回もその予感は覆らなかった。
 耳からの情報以上に雨量は強く、路面には大きな水たまりがあるほどだ。なるほどね、、更に布団が恋しくなる状況だわ、コレは。

 
 「今日はそんなに急ぐ朝でもなかったな」、、と思った瞬間、ふと昔のことを思い出した。それは姉さんと叔母さんと一緒にお出かけしたある日のこと。私は妙な好奇心にかられ、二人からはぐれてしまった。いや、正確に言えば二人をまいた、だったと今は認められる。


 時折、聞こえる外の世界にはいつも憧れがあったの。私には行けなかった場所だったから。それが手に届くと分かった時、自然と一人で歩き出した。それが若さだった、なんて今はまだ思いたくないけれど。


 とにかくその世界には自由があった。というよりも自由しかなかったわね。なにもないじゃないの。それどころか誰もが私を敵視しているし。どうやらこの世界のルールは弱肉強食のようだった。まぁ私だって兄弟内ではそれなりに鳴らしてるんだから!、と息巻いてみたけれど、文字通り世界が違う、と理解するのに大して時間はかからなかったのは懐かしい記憶。


 怯えるように、逃げるように家に帰ると母さんが心配ながら、ご飯を準備して待っていてくれた。父さんは何も言わずにお風呂の準備をしていてくれた。全てを満たした後、当然のように叱られた。それでも私には安堵の心しかなかった。

 
 あれ以来、私はその世界には行っていない。時にはちょっとした衝動にかられるときもあるけれど、行こうとは思わない。私にはここが住むべき幸せな世界なのだと再確認したから。冒険も自由もなくてもいい。平穏こそ幸せなのだと気付かされた。それにうるさい弟たちと遊ぶのも、立派な冒険なんだよ、ってもう一人の私が言ってる。


 そんな物思いに更けていたら、いつの間にか雨が上がってた。けれど私には今日が晴れだとしても、路面が濡れていてもどっちでも良い。私は何も気にせず、もう一度寝ることにした。




















と思ってるように見えた今朝の姫でした🐈


今日はネタがないので、こんな感じで♪

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ではでは~

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